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「ちょっと待つっス! エリカ博士は勘違いしてるっス! アガット先輩はもうとっくに裏から逃げたっス! ここにはアガット先輩なんていないっス!!」 僕は口からデマカセと理解しながらも、これしか言葉が浮かんでこなくて必死に叫んでみた。…だけどエリカ博士は慌てた様子もない。 「はぁ? 何言ってるのよ。そんな嘘が通用するわけないでしょ! そんな穴だらけの壁で逃げてるなんて言ってもバレバレよ! 見えてるじゃない! 赤い髪の毛がっ!」 ああっ! そうでした! そういえば壁が穴だらけなんだった! ほとんど丸見えだというのに、逃げたなんて言っても、そりゃあバレるに決まってる! なんてこった! これじゃあ気を引くどころじゃない! クリティカル失敗だーーー! 「チィッ!」 アガット先輩は作戦が失敗した事を承知でエリカ先輩へと飛び込んだ。無茶をしてでもあの導力砲を奪う気だ。先輩はなんの迷いもなく、真正面から突撃する! しかしエリカ博士はそれを待っていた! いまこそ、リミッター解除での正真正銘最大威力でぶっぱなすつもりなのだ。 「吹き飛べ! この鬼畜男!!」 「くっ! 間に合えっ!」 エリカ博士が引き金を引こうとしたその瞬間、アガット先輩が自分の靴を───、ブーツを投げた! 高速回転しながら、えらい速さでフッ飛ぶブーツに驚くエリカ博士は、一瞬だけ そしてブーツは派手な音を立てて見事に導力砲へと命中! その衝撃で博士が落とす! やった!、と歓喜したのも一瞬だけだった。 導力砲は明らかに破裂寸前だったのだ! ほんの少しの衝撃で爆発しても当然。 それなのに、ブーツを投げて当てた事で臨界点を越えてしまったのです!!!!!! 闇夜を引き裂く輝きと共に、静かな爆裂が生まれた。 それは黒い光。何もかもを埋め尽くす、深き闇よりさらに黒い輝きが波動となって襲う。 「うわああ……、こ、これはヤバ────…。」 言葉にならない異常な破壊音、炸裂音、目も焼き潰れそうな閃光に その目の 先に進むっス!
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