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「あ、ティータちゃん!! なんでそんなトコロに居るッスか?!」 気を 「え?! ティ、ティータ、どうして───っ」 するとエリカ博士は、まんまとその言葉通りにそちらへと視線を向けてくれる。スゴイ! こんなに成功するなんて! どうよこの演技力!! 「なにっ! ティータだと!?」 …かと思えば、僕の隣でアガット先輩までそちらを向いていた……。 …………………。 「せ、先輩! ダメじゃん!」 「うっ、悪りぃ! すっかり ゴラァ! せっかくの名演技が水の泡じゃあないスか! まったくもう! A級遊撃士ともあろう者が見る影も無いよ! 幼女が関わると人が変わるよ! どうなってんのよ! 「───ちょっと! ティータなんて 「あっ、しまった!!」 うわあ、アガット先輩の凡ミスにかまっている時間なんかなかった。いまのが嘘だと気がついたエリカ博士が、さらに目を吊り上げ、アクマのような形相でこちらを 父さん、母さん、目の前にアクマがいます。 僕ここでたぶん死にます。 「エリカッ! てめぇを止める! ティータだって本当に見てるかもしれねぇだろが!」 しかしアガット先輩はそのまま飛び出しました! なんという無茶をするのでしょう! なんだ、最初から一人で立ち向かえるならそうすればいいのに、などとは少しも考えませんでした。考えてないっス! 距離を詰めるアガット先輩に、我を取り戻したエリカ博士は容赦のない一撃を見舞おうとしているっス! だけど、やっぱり無理がある! 先輩と博士の間の距離は、歩けば家一軒分程度の だから僕は、今度こそこれ以上ないという改心の叫びを放った!! いまの僕には、これしか言える事がない!! 「誰か、助けてーーーーー!!!」 その瞬間、エリカ博士が引き金を引いてしまう! 僕にはもう、目を それから…、長い時間なのか、短い一瞬だったのか、ともかく長いようで短い間を過ぎて、ようやく爆発が収まったのを確認した僕は、いまだ煙が立ち込めてよく見えない周囲を歩いてみる。 アガット先輩やエリカ博士はどうなっちゃったんスかね? その姿はどこにもない。あるのは破裂したらしい導力砲の残骸だけだ。 もしかしたら、という最悪の予想が過ぎるけれど、僕は頭を振ってそれを打ち消した。きっと先輩ならあの状況でもなんとかしてくれる。そう思うしかなかったっス。 …もし、あれで死んじゃってたりしたら間違いなく僕の責任っス。ティータちゃんがいるっていう嘘を言わなければ、先輩が振り向くこともなかった。僕が先輩のロリコン重傷度を考慮していれば、こんな事にはならなかった…。 あれ? でもそう考えてみれば、僕自身そんなに悪くなくない? 悪いのはロリ属性の先輩であって、僕は一生懸命に努力したんだもんね。 僕は悪くない。ちっとも悪くない。あっはっはっはっ! なんて、高飛車になった僕が、何気なく上を見上げると…。ちょうどよく、焼け焦げた遊撃士協会の看板が、顔面へとパタリと落ちてきた。ジュ!…という肉の焼ける音が聞こえて、僕は悲鳴を上げる! 「うわちゃちゃちゃちゃちゃ!!」 なんだかバチが当たった感じでした。 「…まったく、派手に壊したもんだな。くそっ、意外と重いなコイツ…。」 そこで聞こえたのは、アガット先輩の声。弾かれたようにそちらへと視線を向けると、先輩は海から上がってくるところだった。気を失っているらしいエリカ博士を抱えているところをみると、どうやら海に飛び込むのが間に合ったらしい。 あ、やっぱり生きてた。そうだと思った。 そりゃあアガット先輩ですからねぇ。こんなところで爆死なんてあるはずがないと思ってたっス。 いやぁ、良かった良かった。 うう…、顔が痛いっス…。 先に進むっス!
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