水竜クーと虹のかけら

第一部・02−00 「プロローグ」
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 親が子供へと注ぐ愛。
 それは何よりもとうとくあり、自然の成り行きの一環いっかんでもあります。

 しかし、その全てが同じ方向へと向けられているわけではありません。



 生みの親、もしくは育ての親というものは、少なくとも子供の数と同数は存在します。
 それだけの意思があれば、そこに様々な考え、相違そういが生まれるのも当然の事。

 人がひとりづつ違うように、親もまた違うのです。


 だとすれば、
 親のうながす方向が、指し示す方向性が一定であるはずがない。

 もし同じ性格、気性を持つ子供が居たとしても、親の意思により、まったく違う人間に成長するかもしれない。

 その子が導かれる先に待ち受けるのは、誰からも尊敬そんけいされる素晴らしき道かもしれない、逆に、倫理りんりにすら反するものやもしれない。その両極端ではないまた別の者として生きるのかもしれない。



 きっと正解などないのでしょう。
 しかし、親というものが影響を与える事も確かな事なのです。





 ……ここにも、一人の親と、一人の子供がいます。

 子である彼が生まれてから15年。
 彼も多くの親子と同じように、親の保護を受けて成長してきました。



 名前はユニス。
 ラファイナ王国において、将来を有望視される青年であり王子。

 そして、親の名はイメルザ。この国の統治者、女王です。







 ……この話は、その親子の物語。

 水竜の一家とは違う、もう一つの家族の話……。







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